
長寿命塗装技術研究会の栗山です。
茨城県水戸市から外壁塗装を中心に、大切な住まいで長く暮らすための秘訣をお届けしています。
外壁塗装を考えている人に向けて「失敗しない外壁塗装工事のために」をシリーズで書いています。
今回は、塗装業者でもあまり知られていない、驚くべき事実について書きたいと思います。
これは実は塗装業者もよく知らないことなのです。
ひび割れ補修のその後
以前、こんな質問を受けたことがあります。
1年程前に、塗装工事をした時にひび割れの補修も一緒にお願いしました。ところが最近になって黒くミミズ腫れの跡が出てくるようになりました。
あわてて塗装工事をした業者に電話をしたところ「それは仕方ない事です」と返答されてしまいました。本当なのでしょうか?
たった1年で黒くミミズ腫れのような跡が出てくると、とても残念な気持ちになりますよね。
そんなこともあって、当社に質問してくださったのでした。
ひび割れについて詳しく伺ったところ
「ひび割れをきちんとコーキングで補修した後に、塗装をした事はしっかり確認しました。ですので手抜き工事をしたわけではないです」
とのご意見をいただきました。
ひび割れ後のミミズ腫れ
実はこのひび割れのトラブル。
今回いただいた相談以外にも、数多く発生しているものなのです。そして悲しい事にそのほとんどが、塗装工事を行ってから1年以内に発生しているのです。
気を付けてご近所の家々を見てみるとわかります。
黒くミミズ腫れになっている家が何軒もあることが確認できるのではないでしょうか。
塗装工事を行った後に、比較的多いトラブルがこの黒くミミズ腫れの「跡が出た」というものです。
工事を行った直後ならまだしも、1年後の問題ですから結局お客さんが泣き寝入りになってしまう、といったケースがほとんどなのです。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
塗装業者が知らない事実
なぜ黒いミミズ腫れの跡が出てしまうのでしょうか?
実はコーキングで補修した際の、コーキング剤に含まれているある成分に原因があるのです。
コーキング剤の中に含まれている「可塑剤(かそざい)」が塗膜を溶かしてしまうからなのです。
これを可塑移動といいます。
さらに、コーキング剤そのものが、ホコリやゴミが付きやすい素材のため、黒くなってしまうのです。
この可塑剤についての知識がある塗装業者は、残念ながら非常に少ないのが実情です。
だからこそ、冒頭の相談者のように「仕方ないこと」とされてしまうのでしょう。
この道一筋、20年、30年というベテラン職人ですら知らない人が圧倒的に多いです。
これはコーキングは専門外だ、という意識が強い塗装業者が多いから、としか思えません。
ミミズ腫れにならない方法
では外壁塗装をする場合は黒いミミズ腫れが出てくることは覚悟しなくてはいけないのでしょうか?
そんあことはありません。
ミミズ腫れを作らない方法が2つあります。
1、コーキングを打った後に、可塑剤が表面に出てこないように専用のプライマー(逆プライマー)を塗ります。これによりミミズ腫れはできにくくなります。
2、可塑剤の成分が入っていないコーキング剤を使用します。
可塑剤の入っていないコーキング剤を「ノンブリード」といいますがこれを使用してもらいます。
最近は多くのシーリング剤がノンブリードになってきましたが、そもそも可塑剤についての知識がない人が多いために、選択を間違えてしまうことがあるのです。
絶対やってはいけない仕様の作業を罪の意識なくやってしまう業者も少なくはないのです。
失敗しない塗装工事のために、ぜひ頭の片隅に残しておいてください。
また失敗しない塗装工事のために無料の市民講座を開催しています。
詳しくはこちらから
長寿命塗装技術研究会 栗山勇次
参考)失敗しない外壁塗装工事シリーズ
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